私の心エコー検査 第8回 渡邉望先生(川崎医科大学 循環器内科)
今回は川崎医科大学の渡邉望先生より「心エコー図のこつ」ということでご寄稿いただきました。
渡邉望先生はこれまでも積極的に学会等で発表されており、その論文はCirculationなどの海外有名ジャーナルに数多く掲載されています。
会員の皆様も渡邉先生にどこかでお会いしたり、講演を聞かれたりしているのではないかと思います。
また渡邉先生は海外のドクターとの交友関係も広くワシントン大学のオットー先生、メーヨクリニックのオー先生、エモリー大学のマーティン先生など数多くの著名な先生と共同研究や共同出執筆をされています。
先生のご発表で特に有名なものはIschemic MRでの僧房弁の弁輪と弁尖のTetheringを独自に開発された「RealView」というソフトで定量評価したご研究です。もしそう言われてピンとこない方も下図をみると思いだされるのではないでしょうか。
私は上記のRealViewのソフトの開発に携わらせていただいたのですが、そこで渡邉先生から学んだ事は頭が良い人は行動が迅速で仕事が丁寧で人の倍努力をするということでした。
今回渡邉先生には初心者が心エコーを上達するためのコツや意識すべきことを記述いただきました。エコーを勉強されている皆様の指針になれば幸いです。
<RealView 川崎医科大学 循環器内科 吉田清・渡邉望先生 開発 >
心エコー図検査上達のために
「心エコーのコツを」という原稿依頼ですが・・コツと言っても考えれば色々ありますね。
機器操作のコツ、上手に断面をスキャンするコツ、患者さんの体位や呼吸を工夫するコツ等々・・。こういう原稿よりもハンズオンの方がより伝えられるコツもあります。私自身まだまだ勉強することが沢山ありますのであまり偉そうなことは言えませんが、立場上これまで技師さんだけでなく学生や研修医、開業医の先生方など多くの方々に心エコー図検査を指導する機会がありましたのでその経験から考えることをお伝えしようと思います。
初心の方が大抵たどる道は、1.動いている心臓に感動 2.教科書の基本断面をなんとか出そうと汗だく 3.断面が出たら「よっしゃ!」とフリーズして計測 4.全部終わったと思ってよく考えたら心臓の大きさや動きがどうだったか良く見てなかった・・・。というパターンです。
即戦力を求める現場では難しい面もありますが、私は初心の時期には敢えて計測しない事をお勧めします。写真を撮って計測することに囚われず、まず「観察」、所見が定まってから記録に移る方法です。自動車学校のように「左房は大きくない、左室の大きさは正常、動きもよさそう、壁の厚さは・・」と呟きながら検査するのも良いでしょう。
2D画面上には必ずスケールがついていますので計らなくても大体見当がつきますし、この訓練は救急現場でのワンルックエコーにも役立ちます。
そうこうしている内に、数をこなしていけばある程度は皆上達します。大体100例を越えた頃、ぐんと自信がつく傾向があります。
そこから先のさらなる上達のためには、1.立体的解剖の理解 2.血行動態の理解 3.疾患・臨床背景の理解、つまり「知識」が必要です。
目の前の二次元画像を実際の三次元構造とリンクできるとスキャンの技術は飛躍的に伸びますし、血行動態を含めた疾患や病態に対する知識の裏づけが、さらなる技術・診断能力の向上へとつながります。
そのために、手元に本を置き検査前後・検査中いつでも勉強しましょう。そして技師さんたちは常に医師と接し、おしゃべりの中から臨床背景を知り、病態について考える癖を是非つけてください。
外科医による術後のフィードバックもとても大切です。何を求められているかがわかるとレポートの書き方も変わってきます。
技師、循環器医、外科医一蓮托生で楽しい現場、そこが、最もハイレベルな心エコー図検査ができる環境であると思います。
以上、だらだら書きましたが、書きながら私もまた勉強をしようと新たな気持ちになりました。では、その他ハンズオンでお伝えできる事はいつかお会いできた時に・・・。
追伸:手前味噌ですが勉強の助けとなればと本を紹介(宣伝?)させていただきます。
南江堂「チャートでわかる実践心エコー図法:エキスパートへの近道 改訂第二版」





